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「好き」から始めた挑戦を世界に広げる。ボストン渡航で変わった学生起業家の行動と視点

早稲田大学 人間科学部の浅井良太さん。ヴィンテージ古着の越境EC事業を構想し、GTIE海外渡航プログラムでボストンへ。MITでの英語ピッチと現地古着店への飛び込み訪問を経て、「まず動いてみる」姿勢が自分の中で強くなったと語ります。

浅井良太さんは、早稲田大学人間科学部健康福祉科学科に所属しながら、ヴィンテージ古着を海外に向けて発信・販売する越境EC事業の立ち上げに取り組んでいます。

構想しているのは、日本各地に点在するヴィンテージ古着店の商品を集約し、海外市場へ届けるプラットフォーム。単なるECサイトではなく、購入後のリセール価格の推定や着用回数の想定といった情報も可視化することで、ユーザーが納得して購入できる仕組みの実装を目指しています。

ヴィンテージ古着市場は世界的に拡大を続けており、特にアメリカでは二次流通文化が長く根付いていることから、浅井さんはまず米国市場への展開を視野に入れて事業構想を進めてきました。

現地の市場環境を理解し、サービスの実現可能性を高めるために参加したのが、今回のGTIE海外渡航プログラムです。

訪れたボストンでは、MITやハーバード大学の学生・研究者との交流に加え、インキュベーション施設の訪問や起業家とのネットワーキング、さらに現地でのピッチなど、多様な機会を通じてスタートアップエコシステムに触れる経験を重ねました。

特に浅井さんにとって今回の渡航は、単に海外の起業環境を知る機会にとどまらず、自身の事業アイデアを実践的な視点から検証する重要なステップとなりました。

大学・VC・アクセラレーターが近接するボストンのスタートアップエコシステムを体感

浅井良太さん

今回のボストン渡航では、どのような活動をされたのでしょうか?

MITやハーバード大学の学生や研究者の方と交流したり、気候変動分野やロボティクス分野に特化したインキュベーション施設を訪問したりしました。CICにも行ってネットワーキングやピッチを行う機会がありましたし、プログラムの中には各自でアポイントメントを取って現地の方に会いに行く時間も設けられていたので、その時間もできるだけ活用するようにしていました。

実際に現地の環境に触れてみて感じたのは、アイデアそのものの質や人の優秀さは日本人とそこまで大きく変わらないということでした。しかし、それを支える環境は日本とまったく違うと感じました。

例えば、研究テーマが最初から社会実装を前提として進められていて、ある程度進んだ段階で大学が資金を出し、その後アクセラレーターやVCにつながっていく流れが大学の中に自然にあるんです。しかも大学・アクセラレーター・VC・企業が近い距離にまとまっているので、研究から事業化までの動きがとても速いと感じました。

もう一つ印象的だったのは、手を挙げたら「じゃあ一緒にやろう」と言ってくれる空気があることでした。挑戦すること自体に対して前向きな文化があると感じましたし、それはすごく刺激になりましたね。

一方で、日本にも同じような可能性はあると思っています。

東京は大学も企業も投資家も近い距離にありますし、人とも出会いやすい環境なので、今回の経験を通して、日本でも目指せる環境はつくれるのではないかと感じました。

MITでの英語ピッチを通じて見えた事業の課題と可能性

MITでのピッチでは、どのようなフィードバックを受けましたか?

MITでは、自分が構想しているヴィンテージ古着の越境ECについて英語でピッチを行いました。プロトタイプも用意していたので、それを見せながら説明する形でした。

ピッチの中では、日本のヴィンテージ古着店の商品を海外に向けて発信・販売する仕組みをつくりたいと考えていることや、その中で購入後のリセール価格の推定や着用回数の目安を可視化する機能を考えていることを説明しました。

その機能自体については「面白い」という評価をいただいたのですが、一方でかなり具体的な指摘も多くいただきました。

例えば、「既存のECがある中で、なぜこのサービスが選ばれるのか」「どうやってユーザーを集めるのか」「物流はどうするのか」といった点については、自分の中でもまだ整理しきれていない部分が多くて、かなり考えさせられました。

特に印象に残っているのは、サービスの機能そのものだけではなく、そのサービスが市場の中でどう広がっていくのかという視点で質問をいただいたことでした。

それまでは「こういう機能があったら便利だと思う」という発想が中心だったのですが、「それがどうスケールするのか」「どうやって選ばれるのか」という観点で考える必要があると気づくきっかけになりました。

英語でのピッチという点でも大きな挑戦でしたが、それ以上に、自分の事業を客観的に見直すきっかけになった経験だったと思っています。

起業への関心を出発点に、ヴィンテージ古着領域での事業仮説を検証するため参加を決意

どのような経緯でこのプログラムに参加しようと思ったのですか?

もともと起業そのものには関心があって、営業代行のような仕事にも少し関わったことがありました。ただ実際に取り組んでみる中で、自分が本当に続けたいと思えるテーマでないと難しいと感じるようになったんです。

その中で、自分が以前から関心を持っていたヴィンテージ古着の領域で事業として取り組めないかと考えるようになりました。

ちょうどそのタイミングでGTIE海外渡航プログラムのことを知り、海外のスタートアップ環境に触れながら、自分の考えている事業の方向性が通用するのかを確かめてみたいと思い参加を決めました。

また、ボストンは大学・アクセラレーター・投資家が近い距離にあるスタートアップの集積地として知られている場所でもあるので、その環境を実際に体験してみたいという思いもありました。

自分の関心のある領域について現地でヒアリングやピッチを行いながら、事業として成立する可能性があるのかを確かめたいという気持ちが強かったですね。

現地古着ショップへの飛び込み訪問を通して変わった行動力

現地ではどのようなチャレンジをされたのでしょうか?

プログラムの中でアポイントメントを取る時間があったのですが、古着ショップの方はLinkedInを使っていないことも多くて、なかなか事前に連絡を取るのが難しい状況でした。なので実際には、自分で現地の古着ショップを回って、直接話を聞くという形でヒアリングを進めていきました。

最初に訪問した古着ショップは、住所を頼りに行ってみたらコンテナのような建物で、奥から扉が開いて人が出てくるような場所でした。正直かなり怖くて、「ここに入って大丈夫かな…」と思うような雰囲気でした。

それでも期間が限られている中で、自分が扱いたいと思っているデザイナーズ系のヴィンテージが置いてある店舗だったので、ここで話を聞かずに帰るわけにはいかないと思って思い切って中に入りました。

最初はお客さんとして店に入りましたが、途中から自分が考えている事業についても説明しながら話を聞いていくようにしました。結果としてとても丁寧に対応していただけて、マーケットの実態についてもいろいろ教えてもらうことができました。

今回の渡航を通して特に大きかったのは、「まず動いてみる」という姿勢が自分の中で強くなったことだと思っています。

限られた期間の中で成果を出すためには自分から動くしかないという状況でもありましたし、一緒に参加していた方々もすごく積極的に行動している方ばかりだったので、その影響も大きかったと思います。

実際に現地で行動してみた経験を通して、これまでよりも一歩踏み出すことに対するハードルはかなり下がったと感じています。

帰国後のデモデーでのフィードバックを通して見えてきた事業の方向性

浅井良太さん

渡航後、自身の事業に対する考え方にはどのような変化がありましたか?

帰国後に早稲田大学のデモデーでピッチをする機会があったのですが、その場でいただいたフィードバックも非常にありがたかったです。

特に印象に残っているのは、越境ECの仕組みそのものについての指摘でした。

例えば、Shopifyなどの既存のプラットフォームでも越境配送の仕組みはすでに整っているので、その中で自分のサービスがどう差別化できるのかという点については改めて考える必要があると感じました。

また、在庫の持ち方についても課題があることに気づきました。

プラットフォーム型のモデルでは在庫をどのように確保していくかが大きな論点になりますし、スタートアップとして大手と同じ領域で競争するのは難しいという指摘もありました。

その中で、「もっとバーティカルに領域を絞ったサービスの方がよいのではないか」というアドバイスをいただいたことは印象に残っています。

例えば、スマートフォンで写真を撮るだけでリセール価格が分かるような仕組みなど、より焦点を絞った形で価値を提供する方向も考えられるのではないかという示唆をいただきました。

こうしたフィードバックを受けて、事業の形そのものについては現在も検討を続けています。

ただ一方で、ヴィンテージ古着、とくにデザイナーズ系の古着の価値に関わる領域で事業をしたいという思いは変わっていません。この領域の中に自分が取り組むべき課題があるという感覚は、今回の経験を通してむしろ強くなりました。

事業の形は柔軟に変えていきながらも、扱う領域そのものについてはぶらさずに取り組んでいきたいと考えています。

自分が本当に熱狂できるテーマとして選んだヴィンテージ古着という領域

そもそも、なぜヴィンテージ古着の領域で事業に取り組もうと思ったのでしょうか?

どの領域で事業に取り組むかを考えたときに、最初に思い浮かんだのが服や香水といった、自分が以前から関心を持ってきた分野でした。

特にヴィンテージ古着については、古着屋でラックを一枚ずつ見ていく中で、「これだ」と思える服に出会う瞬間があって、その体験には特別な魅力があると感じていました。そうした出会いの価値を、自分が提供する側としてつくれたら面白いのではないかと思ったことが、この領域で取り組んでみたいと考えるようになったきっかけです。

もちろん、市場規模や成長性といった観点も大切だと思っていますが、それ以上に、自分自身が納得して長く関わり続けられるテーマであることを重視したいとも考えています。

スタートアップとして事業に取り組んでいくには時間もかかると思うので、まずは自分がエネルギーを持って取り組める領域から挑戦していきたいです。

ボストンで得た経験をこれからの事業づくりにつなげていきたい

今後取り組んでいきたいことについて教えてください。

今回のプログラムを通して、自分が取り組みたい領域はより明確になったと感じています。

ヴィンテージ古着、とくにデザイナーズ系の古着の価値に関わる領域には、自分自身として強い関心がありますし、この領域の中で事業として取り組める可能性は十分にあると考えています。

一方で、MITでのピッチや帰国後のデモデーでいただいたフィードバックを通して、現在考えている越境ECの形についてはそのまま進めるのではなく、より解像度を高めながら検討していく必要があるとも感じています。

そのため今後は、扱う領域そのものはぶらさずに持ちながらも、どのような形で価値提供を行うのがよいのかについては柔軟に検討を続けていきたいと考えています。

例えば、リセール価格の可視化のような機能に焦点を当てる形も含めて、自分の強みを生かしながら実現可能性の高い形を探っていきたいと思っています。

今回の経験を通じて自分から動くことの大切さも実感できたので、これからも実際に現場の声を聞きながら、小さく試しつつ事業として成立する形を見つけていきたいと考えています。

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